分類②・線形判別分析

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ノートブックの作成

Colabにアクセスし,新規にノートブックを作成してください. ノートブックのタイトルは chapter8 とします. また,numpymatplotlib.pyplotscipy.optimize を導入しておいてください.

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from scipy.optimize import minimize

データの準備

前回と同じリンゴとメロンの 大きさ($x_1$)重さ($x_2$) を用います(未知のデータ$u$をリンゴとしてデータに追加). 各要素はベクトル${\bf x} = (x_1,x_2)$として表すことに注意してください. ここでは,あらかじめデータを標準化しておきます.

[In:]

x1 = np.array([9.5, 11.2, 10.3, 11.5, 13.4, 12.9, 14.2]) #大きさ(cm)
x2 = np.array([278, 298, 382, 443, 1221, 1305, 1512]) #重さ(g)
label = np.array(["red","red","red","red","green","green","green"]) #カテゴリ
x1 = (x1 - x1.mean()) / x1.std()
x2 = (x2 - x2.mean()) / x2.std()
print(x1)
print(x2)

[Out:]

[-1.49090975 -0.41564757 -0.98490402 -0.22589542  0.9758682   0.65961462
  1.48187394]
[-0.99454837 -0.95468671 -0.78726775 -0.66568969  0.88492881  1.05234778
  1.46491594]
plt.scatter(x1, x2, c=label)
plt.gca().set_aspect("equal", "datalim")
plt.ylim([-1.8, 1.8])
plt.xlabel("x1")
plt.ylabel("x2")

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線形判別分析

前回は 分類 における 決定境界ベクトル の役割について解説しました. 今回は,決定境界を決めるベクトル${\bf w}=(w_1, w_2)$の導出方法について考えます. 分類のためのアルゴリズムは様々ありますが,今回は 線形判別分析(Linear Discriminant Analysis: LDA) に挑戦してみましょう. 線形判別分析は,データを分類するために,線形(直線) の決定境界を求める方法です.

代表ベクトル

まず最初に,各ラベル(ここでは,リンゴとメロン)の 代表ベクトル を求めます. 代表ベクトルとは重心(平均)のことです. ここで,リンゴの代表ベクトルを${\bf a} = (a_1, a_2)$, メロンの代表ベクトルを${\bf m} = (m_1, m_2)$と表すことにします. 下記のように計算すると,${\bf a} = (-0.78, -0.85)$,${\bf m} = (1.04, 1.13)$となります.

$$ (a_1, a_2) = \left( \frac{-1.49 + -0.42 + -0.98 + -0.23}{4}, \frac{-0.99 + -0.95 + -0.79 + -0.67}{4} \right) $$

$$ (m_1, m_2) = \left( \frac{0.98 + 0.66 + 1.48}{3}, \frac{0.88 + 1.05 + 1.46}{3} \right) $$

[In:]

apple = np.where(label=="red") #リンゴのインデックスを取得
melon = np.where(label=="green") #メロンのインデックスを取得
a = np.array([x1[apple].mean(),x2[apple].mean()])
m = np.array([x1[melon].mean(),x2[melon].mean()])
print(a)
print(m)

[Out:]

[-0.77933919 -0.85054813]
[1.03911892 1.13406417]
plt.scatter(x1, x2, c=label)
plt.scatter(a[0], a[1])
plt.scatter(m[0], m[1])
plt.gca().set_aspect("equal", "datalim")
plt.ylim([-1.8, 1.8])
plt.xlabel("x1")
plt.ylabel("x2")

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決定境界

次に,決定境界を決めるベクトル${\bf w}=(w_1, w_2)$について考えます. 前回は${\bf w}=(1, 1)$と勝手に決めてしまいましたが, 線形判別分析では,下記の条件を満たす$w_1$と$w_2$の組み合わせに限定することにします.

$$ |{\bf w}| = w_1^2 + w_2^2 = 1 $$

これは,半径$1$の円周上にベクトル${\bf w}$があることを意味しています. つまりベクトルの 大きさ は固定して,ベクトルの 回転 に注目するということです. 例えば,${\bf w} = \left( \cos(\pi / 6), \sin(\pi / 6) \right) = \left( \frac{\sqrt{3}}{2}, \frac{1}{2} \right)$ は,この条件を満たしています. このとき,決定境界は $x_2 = - \sqrt{3} \cdot x_1$ となります(前回の資料を参照すること).

[In:]

w1 = np.sqrt(3) / 2
w2 = 1 / 2
w = np.array([w1, w2])
np.linalg.norm(w, ord=2) #ユークリッド距離(ord=2)

[Out:]

0.9999999999999999

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目的関数

最適な${\bf w}=(w_1, w_2)$を求めるための目的関数を定めます. ここでも内積の概念を利用します. ベクトル${\bf w}$と,リンゴとメロンの代表値である${\bf r}$と${\bf m}$の内積を求めます. $|{\bf w}|=1$であることから,内積はベクトル${\bf w}$に対する,ベクトル${\bf r}$と${\bf m}$の正射影になります. 正射影された2点間の距離を目的関数$g({\bf w})$とし,これが最大となる${\bf w}=(w_1, w_2)$を求めます. 例えば,${\bf w} =\left( \frac{\sqrt{3}}{2}, \frac{1}{2} \right)$ のときは,$g({\bf w}) = 2.57$となります.

$$ g(w) = |{\bf w} \cdot {\bf a} - {\bf w} \cdot {\bf m}| $$

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[In:]

# 正射影された2点間の距離
def gw(w, a, m):
  d = np.abs(w.dot(a) - w.dot(m))
  return d

gw(w, a, m)

[Out:]

2.5671370685019306

数値解の導出

最後に数値解を求めていきましょう. 回帰で用いた minimize 関数を利用しますが,少し工夫が必要です.

まず,今回の目的は,$g({\bf w})$の 最大化 が目的です. しかし,minimize関数は 最小化 することしか出来ません. そこで,$g({\bf w})$の符号を反転した目的関数を新たに定義します. 負の値を最小化することは,元の正の値を最大化することに等しくなります.

次に,$|{\bf w}| = 1$を表す条件式を定義します. しかし,minimize関数では,eqという比較演算子で条件を定義する必要があり, この比較演算子は「== 0」を意味します. このため,条件式は$|{\bf w}| - 1 == 0$と変形する必要があります.

この制約条件の基で,目的関数を最大化すると, ${\bf w} = (0.68, 0.74)$が解として求まります. 決定境界は$x_2 = - 0.92 \cdot x_1$となり, リンゴとメロンを適切に分類出来ていることがわかります.

[In:]

#目的関数(最小化するため符号を反対に)
def gw2(w, a, m):
  d = -1 * gw(w, a, m)
  return d

#条件式(ベクトル長から1を引く)
def norm(w):
  l = np.linalg.norm(w, ord=2) #ベクトルの大きさ
  return l - 1

#制約条件(eqは0と等しいことを表す)
cons = (
  {"type": "eq", "fun": norm}
)

w_init = w
result = minimize(gw2, w_init, args=(a, m), constraints=cons, method="SLSQP")
print(result.x)

[Out:]

[0.67569856 0.73717806]

最後に決定境界を求めプロットしてみましょう.

x1_ = np.arange(-3, 3, 0.01)
x2_ = -1 * (result.x[0] / result.x[1]) * x1_
plt.plot(x1_, x2_) #決定境界
plt.scatter(x1, x2, c=label)
plt.scatter(a[0], a[1])
plt.scatter(m[0], m[1])
plt.gca().set_aspect("equal", "datalim")
plt.ylim([-1.8, 1.8])
plt.xlabel("x1")
plt.ylabel("x2")

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課題

下記のデータを分類する決定境界を線形判別分析で求めてください.

x1 = np.array([10, 13, 15, 19, 23, 25])
x2 = np.array([17, 18, 18, 16, 17, 16])
label = np.array(["blue","blue","blue","pink","pink","pink"]) #カテゴリ

課題を完成させたら,chapter8.ipynb を保存し, 共有用のリンクノートブック(.ipynb) をダウンロードして提出してください. このとき,必ず事前に下記の設定を行ってから提出してください.

参考書籍

愛知県名古屋市にある椙山女学園大学 文化情報学部 向研究室の公式サイトです. 専門は情報科学であり,人工知能やデータベースなどの技術要素を指導しています. この公式サイトでは,授業で使用している教材を公開すると共に, ベールに包まれた女子大教員のミステリアスな日常を4コマ漫画でお伝えしていきます. サイトに関するご意見やご質問はFacebookまたはTwitterでお問い合わせください.